森の日記: Chez Panisse(Berkeley)

2017年9月16日土曜日

Chez Panisse(Berkeley)

 知り合いに「行けるうちに、ベイエリアの良いレストランにも行っておいた方がいいですよ!」と言われたので、素直に助言に従って来ました。Berkeley のChez Panisse。


 1階は日替わりでフィックスのディナーコースのみを提供するレストラン、2階はディナーだけでなくランチも食べられるカフェスタイルの営業です。今回はオンラインで予約して、1階のレストランを訪れました。高級感がありつつ、木の質感を生かした軽やかでかわいい感じの店内で居心地が良い。



 アミューズはサーモンと野菜を和えたものを載せた軽めのサクサクしたクラッカー。


 コースにアペリティフが付いてくるのですが、「今日はお酒が飲めないので」と説明したところピノ・ノワールのジュース(つまりほとんどワインなのでは……?)を出してくれました。酸味はごく少なく、皮付きぶどうを食べた時のようなえぐみもなくて、ぎゅっと濃縮した甘みと旨味だけ残る感じのジュース。あまり甘みが強いジュースは苦手なのですが、これは美味しいのでするする飲めてしまう。


 Tomato carpaccio with creamy albacore and caper sauce。トマトにクリーミーなソースをかけたカルパッチョ。揚げたケッパー、紫色のバジル、オリーブオイルが散らしてあります。ソースにはアルバコア(マグロの一種)を使っているらしいのですが魚っぽさはそこまで強く感じず、「そう言われてみればツナ的な風味がちょっとするかな」くらいでした。トマトはもちろん美味しいんだけど、ケッパー、バジル、オリーブオイルがすごく新鮮らしく、香りがとても良いです。


 周囲の別のテーブルに運ばれてきている最中からとても良い魚介の匂いをさせていたのが、Pasta alla chitarra with squid braised in red wine。漂う匂いから期待した通りイカの旨味が詰まったパスタで、麺は手打ちっぽくモチモチしています。カリカリのパン粉がまぶしてあって、味のアクセントになって良い。この日の他の料理に比べるとちょっと塩が強めなので、「ワインと合わせたらちょうど良いのかもな〜、飲めなくて残念だな」と思いました。上の方に写り込んでいるパンはもっちりして、酸味が少ないタイプ。コクのある有塩バターと一緒におかわりをいくらでも持ってきてくれるので、つい食べすぎてしまう。


 メインは鴨のグリルでした(Grilled Sonoma County duck breast with fig and plum mostarda and romano beans)。柔らかく臭みもなくて、でも食べるといかにも肉らしい旨味がいっぱいで良い。添えられているのはイチジクとプラムのシロップ煮にマスタードを加えたもので、当然、鴨に合います。付け合わせのルッコラの苦味と香り、豆の甘さが鮮烈で、カルパッチョの時と同じく「何気ない野菜が驚くほど美味しい店だな」と思いました。たぶん調理の仕方が適切なだけでなく、素材がすごく新鮮なんだと思う。


 デザートの前に口の中をリセットするため、ハーブとレモンのお茶を出してくれます。すっきり。


 デザートは焼いたサクサクのメレンゲの上に甘み控えめのクリームと、ブラックベリーのシャーベット、ラズベリーのアイスクリームを載せたもの(Blackberry sherbet and raspberry ice cream Pavlova)。このラズベリーアイスがすごく美味しかった。メレンゲはしっかり甘いんですが、アイスがアメリカのものにしてはあっさりしているのでちょうどバランスが良い感じです。添えられた黄桃も良い香りで、デザートの味に埋没しない強い印象の甘みと酸味があります。

 この後、好みのコーヒーまたはお茶、プチフール(タンジェリンのピールとアーモンドチョコレート)が出てきてコース終了。ひねりのないシンプルな料理だと思うのですが、素材そのものの味と新鮮さに一皿ごとに驚く感じで食べていて楽しかったです。客層は平均年齢高めで、ヨーロッパ系の人が多い。洒落た格好をしてきている人もいれば、地元の住人なんだろうなと思わせるごくごく普段着のお爺さんがコースに合わせたワインペアリングを楽しんでいたりもして「いいな〜」と羨ましかった。なお、お手洗いに行くときに横を通るのでキッチンの様子がうかがえるのですが、清潔感と温かみのあるすごく素敵なキッチンで見ていて面白かったです。良い店。

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