De AnzaではESLに通う学生のサポートをするため、授業以外にも様々な学習プログラムを提供しています。私がよく利用していたのは、Listening and Speaking Center(LSC)とWriting and Reading Center(WRC)です。LSCとWRCでは、宿題や勉強方法についてチューターのアドバイスを受けたり、英語力を向上させるためのワークショップに参加したりできます。英語学習用のソフトウエアなども用意されています。こうしたサービスはESLに通っている学生なら無償で受けられるので、使わない手はありません。
特にESLのライティングの上の方のクラスで提出しなければならないエッセイ(作文)は、独力で完成度を上げるのが難しいです。一般に母国語で文章を書く場合でも1人で読み直しと修正を繰り返すより、第三者に目を通してもらった方が欠点が見つかりやすい。まして、第二外国語で作文する場合はなおさらです。WRCで「全体の構成は適切か」「個々の文章の意味は(文法的に)通じるか」「言い回しが自然か」などについてチューターに尋ねると、修正すべきポイントがよりはっきりしてよかったです。
WRCが提供するチュータリングには、Drop-in TutoringとWeekly Individual Tutoringの2通りがあります。私がいつも利用していたDrop-in Tutoringの場合は、チュータリングを受けたい時にWRCの教室に置いてあるパソコンからStudent IDを使ってサインインすればOK。早くサインインした生徒から順番に、手が空いているチューターを割り当ててもらえます(チューターを選ぶことはできない)。要するに早いもの勝ちの仕組みです。空いている時期ならサインイン後すぐにチューターと話ができますが、多くの学生がチュータリングを求める学期末近くなどには、混みあって1時間以上待つことも。1回に受けられるチュータリングの時間は30分です。Weekly Individual Tutoringは、週に1回1時間、決まった時間に決まったチューターのアドバイスを受けられるシステムです。学期の初めにWRCにWeekly Individual Tutoringを申し込むと、スケジュールの合うチューターを割り当ててくれます。
一方、LSCではチューターと会話の練習をしたり、授業で使うプレゼンテーションの改善すべきポイントを質問したりできます。教室で発表する前にチューターの前でプレゼンテーションを練習して、発音や言い回し、わかりにくい点などを直せるわけです。LSCのチュータリングはオンラインの事前予約が必要です。1回のチュータリングは30分で、1人の生徒が1週間に受けられるのは2回までと限度があります。
LSCとWRCでは、チュータリングのほかにワークショップも開催しています。例えばLSCの「Conversation Practice」や「Pronunciation Practice」に参加すると、ファシリテーターや他の学生と一緒に会話や発音の練習ができます。面白いのは、WRCのワークショップには「Keys to Success in Summary Writing」のように直球で英語力を鍛えるもののほか、「Anti-Procrastination」(先延ばしの回避)、「Technical Textbook Reading」(教科書を読む技術)といった「大学の授業を受ける上で役立つ一般的なスキル」の講座がある点です。こういうところに、「何でもメソッド化して、皆が使えるスキルとして教える」というアメリカの学校っぽさを感じる……。
チュータリングを受ける上で留意しておいた方がよいのは、「チューターが教えることが必ずしも正しいわけではない」「チューターの文章の好みがESLの講師とぴったり合うとは限らない」という点です。チューターを務めるのはトレーニングを受けたDe Anzaの学生や、現役を引退したESL講師、何らかの形で英語を教えた経験のある地元のボランティアスタッフなどです。例えば学生チューターの場合、文法や言い回しの間違いを見逃す可能性もあります。また、これはあるESLの講師がライティングの授業の時に言ったことですが、「文章の教え方、直し方にはどうしても主観的な要素が入ってしまう。ライティングを教える先生によって説明する内容に食い違いが出ることもあると思うが、もうそれは仕方ないと思って欲しい」……ようするに講師の「文章の趣味・好み」によって、ある程度指導方針に違いが出るのはやむをえないという意味です。つまり、チューターが「これがベスト」と思って教えてくれた構成や文章が、ESLの講師の趣味とちょっとずれている(そして減点される)ことは珍しくありません。そのため、エッセイのメインテーマを述べる一文(thesis)など「文章中で本当に外せない重要なポイント」は、授業の前後の空き時間などにESLの講師本人に聞くのが一番いいと思います。チュータリングは素晴らしく役に立ちますが、あくまでサポート的な役割を果たすものでした。
なおESLの講師によっては、WRCやLSCのワークショップへの参加を宿題にしたり、「エクストラクレジット」として成績に含めたりするケースもあります。エクストラクレジットとは、授業への出席や参加態度、宿題の提出具合や試験結果の他に、追加で成績にプラスになるポイントを加算する制度のこと。少しでも良い成績を取りたい学生はエクストラクレジット用の記録用紙を持ってワークショップに参加し、担当のチューターにサインをもらって後でESL講師に提出するわけです。
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